「もう疲れちゃったね。」
「ん…。」

ぐちゃぐちゃになった部屋。
夕日だけは部屋を優しく映す。
私の目線には私の服。その横にはCDとりんごがある。
台所には布団があって
床にきらきらと光っているのは、グラスの破片。


大喧嘩は何回もある。
だけどこんなこと初めてだ。
全然覚えていないけど、気が付いたら時計が進んでいたし、部屋もそんな状態になってた。

私たちはなにをしていたんだろう。


彼は頭を抱えたままうつむいている。
彼に触れようとしたけど
何故かそれができなかった。
もう触っちゃいけない。って思ったから。

こんなの駄目だ。
普通の状態じゃない。
どんなに好き同士でも、こんなことしてたって駄目なんだよ。

好きだから一緒に居たい。
好きだから触りたい。
好きだから大切にしたい。

そう思っていたはずなのに…。
何かが私たちを変えてしまった。


「もうこんなことさ、」
「うん。」
「しちゃ駄目だよね。」
「うん。」
「やめようか。」
「なにを?」

本当は解ってるくせに。
彼は聞いてきた。
言うのはつらいけど、ちゃんと言わなきゃいけない。

「恋人同士やめよう。」
「ん…。」


よくわかんない返事をして彼はまたうつむいた。
私は窓に目をやった。
夕日が沈む。
何で夜になる前の夕日って
こんないやらしいくらいにまぶしいのだろう。


「じゃあね。」
私はざっと荷物を片付けた。
彼はまだうつむいたまま。


好きだからこうした。
本当はずっと一緒に居たい。
だけど無理だね、私たち。

終わりの音はしないけど
涙の音がした。


どこからともなく
静かな涙の音が。

終わりの音が私を包む